ビジネスへの影響は?

 周知のように、中国は現在、自国の経済が大変厳しい。おまけに来年1月20日には、中国を目の敵にしているドナルド・トランプ政権が、太平洋の彼方で発足する。そのため、日中間の経済関係を、より緊密にしておこうという「中国ファースト」の論理に基づいた「開国措置」に他ならない。その証拠に、コロナ禍前は許容滞在日数が15日だったのに、今回は30日と倍増した。

 それでは、「ビザなし渡航」が解禁となったことで、今後の日中ビジネスは活況を呈していくのか? 結論を先に言えば、おそらく当分は、予断を許さない状況が続いていくだろう。

 今年1月~10月の日中貿易額(ドル換算)は、前年同期比で-4.0%。内訳は、日本から中国が-3.6%、中国から日本が-4.4%である(中国税関総署発表)。中国から見た場合、日本との貿易額は全体の5%を割っており、すでに韓国の下で、まもなくベトナムにも抜かれる。

 これはひとえに、日本企業の側が「消極姿勢」だからだ。11月20日、北京の中国日本商会(中国に進出している日系企業の団体)が、5回目となる「日系企業調査結果」(今回は1513社が回答)を発表した。その主な回答は、以下の通りだ(番号は筆者が便宜上つけた)。

①過去3カ月の売り上げは?
5%以上上昇…12%、5%以下の上昇…15%、変化なし…30%、5%以下の下降…21%、5%以上の下降…23%

②中国国内の景況感は?
改善している…1%、やや改善している…6%、横ばい…42%、やや悪化している…36%、悪化している…15%

③今年の投資額は昨年と比べてどうか?
大幅に増やす…2%、増やす…14%、前年と同額…40%、減らす…20%、投資しない…24%

④中国国内の今後の景況予測は?
改善するだろう…2%、やや改善するだろう…9%、横ばいだろう…26%、やや悪化するだろう…39%、悪化するだろう…25%

⑤中国市場をどう考えるか?
最重要市場…22%、3つの重要市場の一つ…27%、多くの重要市場の一つ…39%、重要市場ではない…5%