韓国警察は、2019年に韓国の仮想通貨取引所でイーサリアム34万2000個を奪取した犯人が、北朝鮮軍偵察総局が関係するハッカー集団「ラザルス(Lazarus)」と「アンダリエル(Andarial)」であると発表した。ラザルスは世界各国の金融機関ハッキングを専門とするハッカー集団で、日本で発生した2018年のコインチェック・ハッキング事件や2024年5月のDMMビットコイン・ハッキング事件の背後にいるとして名指しされてきたグループでもある。
現在のレートで1600億円
2019年11月27日午後1時頃、韓国屈指のIT企業カカオグループのデュナム(Dunamu)が運営する仮想通貨取引所アップビットで突然サーバー点検のお知らせが出て、5時56分、次のような書き込みが掲載された。
「2019年11月27日午後1時06分、アップビットのイーサリアム・ホットウォレットからイーサリアム34万2000個が不明なウォレットへ送信されました。不明なウォレットのアドレスは0xa09871AEADF4994Ca12f5c0b6056BBd1d343c029です。
アップビットは、会員の皆様の資産には被害がないよう、不明なウォレットに送信されたイーサリアム34万2000個はアップビット資産で充当する予定です……」
この事件でアップビットは、2週間入出金が制限されるなど、営業に大きな支障が生じた。ハッキングで消えたイーサリアム34万2000個は当時では580億ウォン(65億円)相当だったが、現在のレートにすれば1兆4000億ウォン(約1600億円)にものぼる。
この巨額の損失をもたらした事件の犯人が、北朝鮮のラザルス、アンダリエルというハッカー集団だという事実が5年越しで明らかになった。