なぜ「政治的自殺」になりかねない道を選んだか
尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国大統領が3日夜11時頃、突然非常戒厳令を宣布したが、国会の反対でわずか6時間ほどで解除された。戒厳令が宣布されてから2時間後、禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長と190人の議員が国会に集結し、「非常戒厳解除要求案」を上程し、全会一致で可決させたことを尹大統領が受け入れたのだ。
韓国憲法と戒厳法によると、非常戒厳令の宣布は大統領の権限だが、国会で在籍議員過半数の解除要求があれば大統領は「直ちに」戒厳令を解除しなければならない。すなわち、野党が国会の絶対多数を掌握する現在の状態下では、非常戒厳令は無用の長物であるわけだ。尹大統領がこの点を知らなかったはずがない。
それなら、彼はなぜ「政治的自殺」になりかねない無謀な選択をしたのだろうか。
まず、尹大統領は国会を掌握している「共に民主党」が、韓国の国家システムを麻痺させ、社会混乱を引き起こしていると判断した。そのことは非常戒厳令宣布に対する対国民談話によく現われていた。
「これまで国会はわが政府発足以来、22件の政府官僚弾劾訴追を発議しており、今年6月の国会発足後も10回目の弾劾を推進しています」
「国家予算の処理も、国家の本質的な機能と麻薬犯罪の取り締まり、民生治安維持のためのすべての主要予算を全額削減し、国家の本質機能を損ない、大韓民国を麻薬天国、民生治安恐慌状態に陥れました」