韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権で、ファーストレディ・金建希(キム・ゴンヒ)夫人の“リスク”がかつてないほどに増大している。
金建希・韓国大統領夫人の最初の“疑惑”は、2022年3月の韓国大統領選挙直前に浮上。それ以後、現在に至るまで尹錫悦政権のアキレス腱となっている。
野党の格好の攻撃材料
まず大統領選の終盤に、尹錫悦大統領との結婚前の「株価操作」疑惑をはじめ、「論文盗作」、「経歴水増し」などの疑惑が取り沙汰された。それでもこの逆風を跳ねのけ、夫・尹氏は選挙に勝利。
だが、大統領就任後の22年9月に夫人が知人からクリスチャン・ディオールのバッグを受け取っている動画が、総選挙を控えた23年12月に公開されたことで、大統領夫妻は国民の強い反発を買うことに。これが今年5月に行われた韓国総選挙で与党「国民の力」大敗の原因の一つとなってしまった。
夫人の疑惑追及は尹政権攻撃に効果的だと睨んだ野党「共に民主党」は、金建希夫人の疑惑を捜査するための「金建希特検(特別検事)法」を去年に続き、この10月にも国会に発議した。だが、そのたびに尹大統領が拒否権を行使し、法案は国会に差し戻されて廃案になった。国会に差し戻された法案は議員(300議席)3分の2の賛成を得なければ国会を通過できないが、議席数109の国民の力が党として「反対」と決めたため、毎回国会を通過することができないのだ。
ところが最近、国民の力の一致団結に綻びが出そうな「疑惑」が明るみに出たことで、事態が変わりそうなのだ。