5月23日、北京市内に設けられた臨時検査場でPCR検査を受ける市民(写真:AP/アフロ)

 中国では、俗に「上に政策あれば、下に対策あり」(上有政策、下有対策)と言う。この至言は、実に全国津々浦々に至るまで、人口に膾炙(かいしゃ)している。時にお上のメチャクチャな政策に従わなければならない14億中国人にしてみれば、自分で臨機応変に対応策を見つけていかないと、生きていけないからだ。

 何の話かと言えば、「動態清零」(ドンタイチンリン=ダイナミック・ゼロ)、すなわちゼロコロナ政策である。

衛生当局の記者会見になぜか公安幹部が

 周知のように、中国では現在、世界で北朝鮮しかマネをしない「動態清零」を強硬に推し進めている。そしてそれによって、経済活動に多大な悪影響を与えている。

「感染地域」に指定された都市では、ロックダウンに近い措置が取られ、市民はPCR検査を受ける時しか、自宅の外に出られない。そのため、「われわれはウクライナの人々とどこが違うのだ?」といった怨嗟の声が上がっている。

 最近では、中国の官製メディアは「〇〇工場が生産を再開した」などと喧伝している。だが内部の声を拾うと、工場関係者は家に帰れず、工場への長期の泊まり込みを強いられているのだ。

 国有企業の本社などでも、同様の事態が起こっている。もとより、普通の会社には宿泊施設などないので、応接室などで毎日寝ることになる。やはり「われわれはウクライナの人々とどこが違うのだ?」という心情なのだ。5月23日には、北京市がこうした企業などの「強制的泊まり込み」を、正式に発令した。