「反疫戦」「薬品保障戦闘」……。いつでも戦闘的な北朝鮮だが、また新たな「敵」を見つけたようだ。
今回の敵は、アメリカでも韓国でもなく、新型コロナウイルスである。「世界で唯一、新型コロナウイルスの感染者ゼロ」を誇ってきた北朝鮮が、5月8日に初めて、新型コロナウイルスの感染者を確認したというのだ。
突然の「反疫戦」の大号令
金正恩(キム・ジョンウン)総書記が、5月14日午前2時10分(!)に朝鮮労働党政治局協議会を招集し、初めて「マスクルック」をお披露目。緊張気味に着席した朝鮮労働党の幹部たちの尻を、こう言って叩いた。
「今回の悪性ウイルスは、国家の最も重大な非常事件だ。それなのに国内の防疫部門は、まったく無能だ。あらゆる都市を徹底的に封鎖し、悪性ウイルスが感染していく空間を、漏らすことなく完璧に遮断していくのだ!」
以後、北朝鮮は突然降って湧いたように、「反疫戦」「薬品保障戦闘」などを、国を挙げて始めた。5月16日には、金正恩総書記が平壌市内の薬局を訪問し、「人民に供給する必要な薬品が揃っていない!」と批判する映像を、KCTV(朝鮮中央テレビ)が放映した(映像で見る限り、あれほど薬品を揃えた薬局が平壌に存在するとは思えなかったが)。