4月4日、北京市内でPCR検査を受ける人々(写真:AP/アフロ)

「動態清零」(ダイナミック・ゼロコロナ)という独自のコロナ対策に固執する中国で、「コロナ政局」とも言える状況が、むくむくと蠢動している――。

 4月16日午後3時、中国共産党中央紀律検査委員会・中華人民共和国国家監察委員会の合同のホームページで、漢字41文字からなる短文の「通知」が発表された。

<北京市政協副主席・于魯明は、厳重な紀律法律違反の嫌疑により、現在まさに、中央紀律検査委員会・国家監察委員会の紀律審査及び監察調査を受けている>

 2200万北京市民は、このサラリと書かれた通知の「対象者」を見て、仰天した。于魯明(う・ろめい)氏は、北京市の新型コロナウイルス対策のトップ、北京市衛生健康委員会主任を務めているからだ。北京市トップの蔡奇(さい・き)北京市党委書記の右腕として、首都のコロナ対策全般を仕切っていた重要人物なのだ。

権力の階段を駆け上った元精神科医

 于魯明主任は、1961年12月に北京で生まれた。北京医学院を卒業し、精神科医となった。だが、医師としてよりも、医療行政や政治方面に関心を示していく。1986年に中国共産党の友好党である農工党に入党し、1992年には中国共産党にも入党した(二重党籍)。その後、北京市南部の大興区の副区長や衛生局長などを経て、北京市病院管理局長となった。

 2016年10月、習近平主席の福建省、浙江省時代の側近だった蔡奇氏が、習主席の「鶴の一声」で、北京市党委副書記兼副市長となった。蔡氏は、翌2017年1月に北京市長になり、同年6月には、市トップの北京市党委書記に就任した。