ロックダウン中の上海(写真:ロイター/アフロ)

 中国の厳格なコロナ規制が、同国の経済成長にとって最大の脅威になりつつあると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが4月18日に報じた

 感染力の強いオミクロン株が数十都市に広がったことで、中国政府は2020年のパンデミック当初以来の最も厳しい都市封鎖(ロックダウン)を実施した。

 米アライアンス・バーンスタインの中国担当チーフエコノミスト、ジェンナン・リ氏は「最初のロックダウンから2年以上がたった今、パンデミックは今年の中国経済にとって最大のリスク要因になるだろう」とみている。

GDP1~3月実質4.8%増、コロナ規制の影響反映せず

 中国国家統計局が22年4月18日に発表した同年1~3月の国内総生産(GDP)は物価の変動を除いた実質で前年同期比4.8%増えた。前年同期比伸び率は21年10~12月の4.0%から拡大した。だが前四半期比では1.3%増にとどまり、21年10~12月の同1.6%増から減速した。

 一方で、1~3月のGDPにはロックダウンなどの行動制限によって生じた経済損失が完全に反映されていない。アライアンス・バーンスタインのリ氏は「1~3月のGDPは比較的楽観的な数値を示したものの、コロナ規制による影響を完全に捉えていない」と指摘する。

 中国は22年3月下旬から上海を厳重封鎖し、隣接する昆山でも規制を強化した。しかし1~3月のGDPは、ほとんどがそれ以前のデータを基にしている。

中国の半数以上がコロナ規制の影響下

 中国で最も深刻な影響が出ている上海では、約2500万人が3月下旬から厳しい外出制限下に置かれている。これにより、国内の物流網が逼迫し、製造・建設・サービスといった事業活動に打撃を与えている。野村ホールディングスの香港現地法人によると、22年4月11日時点で外出などの行動制限が行われた都市は45都市に上るという。