米アップルは4月11日、インドでスマートフォン「iPhone 13」の生産を開始したと明らかにした。台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の電子機器受託製造サービス(EMS)大手、富士康科技集団(フォックスコン)が南部チェンナイ近郊に持つ工場で、iPhone最新モデルの生産が始まった。ロイター通信や米ウォール・ストリート・ジャーナルなどが報じた。
iPhoneのインド生産、4モデル目
米中関係の緊張や貿易摩擦がアップルなどの米電子機器メーカーの製造分野に暗い影を落としており、アップルは中国サプライチェーン(供給網)依存からの脱却計画を推し進めている。同社は台湾のEMS大手と協力し、インドなどの中国以外での生産能力強化を図っている。
2017年には、インドでiPhoneの型落ちモデルの生産を開始した。20年には鴻海が当時の現行モデルの生産を開始し、インド生産を本格化させた。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アップルは他のEMS大手である台湾・緯創資通(ウィストロン)とも連携し、これまでにインドで「iPhone 11」「同12」 「同SE」 を生産した。今回の「同13」で4モデル目となる。
ただ、香港の調査会社カウンターポイントによると、アップルの世界製造規模に占めるインドの比率は21年時点で約3.1%。22年は5〜7%に拡大するとみられるものの、現在の中国の比率である95.3%と比較すると極めて小さい。
中国中心のサプライチェーンに脆弱性
こうした中、新型コロナの感染拡大は、中国を中心とした世界サプライチェーンの脆弱性を浮き彫りにしている。とりわけ、中国でのゼロコロナ政策の継続がアップルなどの大手メーカーにとって悩みの種になっている。
たとえば電子産業の集積地である中国南部の広東省深圳市では、22年3月半ばに86人の新規感染者が確認されたことを受け、都市封鎖(ロックダウン)を実施した。これにより、iPhoneやタブレット端末「iPad」などを製造する鴻海の深圳工場も操業の一時停止を余儀なくされた。