フォックスコン 本社(写真:Daniel-SYC/アフロ)

 米アップルのスマホ「iPhone」の生産を手がける台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業のインド工場で食中毒問題に端を発した抗議活動があり、操業停止状態が続いていると、ロイターが12月21日に報じた

インド工場、過去1年で2度目の騒動

 場所は、鴻海傘下の電子機器受託製造サービス(EMS)大手の富士康科技集団(フォックスコン)が南部チェンナイ近郊に持つ工場。同工場は2021年12月18日から閉鎖されている。

 工場敷地内は従業員が1人もおらず閑散としている。2人の警備員と数人の治安当局者が配置されており、警察車両を含め車が数台止まっている程度だという。タミルナドゥ州の労働安全衛生局高官は12月24日まで閉鎖状態が続くと述べている。しかし地元警察は閉鎖は会社の幹部が決めたとしており、再開時期は今のところ分かっていないようだ。

 食中毒は12月第3週に発生し、150人の従業員が入院した。地元警察によると、従業員はこの数カ月間、食中毒などの問題を訴えていた。これに伴い抗議活動が起こり、警察は幹線道路を占拠していた数十人を拘束。12月20日に釈放した。

 この工場では、アップルが20年に発売した「iPhone 12」を製造している。地元メディアは12月21日に関係者の話として、アップルが最近、同工場で21年に発売した現行モデル「iPhone 13」の試験生産を始めたと報じた。

 ロイターによると、アップルにとってインド工場での騒動は過去1年間で2度目。20年12月には他のEMS大手である台湾・緯創資通(ウィストロン)のインド工場で、数千人の契約社員が賃金不払い巡り暴動を起こした。この時は工場の機材や車両などが破壊され、被害総額は6000万米ドル(約68億円)に上ったという。