――なぜ、そのような状況に陥ったのでしょう。

ロペス ロシア軍は「100日戦争」の準備をしていなかったのです。彼らはウクライナ軍を1週間で壊滅できると思っていたのです。しかし戦争は侵攻開始以来100日を超えました。ロシア軍は準備ができていなかったのです。

 ロシア軍が戦ったウクライナ軍は西側の近代的な戦闘部隊でした。ロシア軍は今、1962年につくられた戦車を引っ張り出してきて、この戦争を戦っています。なぜならロシア軍の戦車は破壊されてしまったからです。

――ロシア軍は時代遅れになった武器を使用していると報道されていますね。

ロペス それも本当です。ドネツクやルハンスクの志願兵や徴集兵の大隊の中には1932年や1941年に製造されたライフル銃を使っているところもあると聞いています。ロシア軍はこうした部隊を使ってウクライナ軍の位置を探り、他の部隊が砲撃できるようにしています。32年や41年に製造されたライフル銃を持たされた部隊は殺されてしまいます。気が狂っているとしか思えない戦法です。

兵士の遺体や負傷兵を戦場に置き去りにするロシア軍

――ロシア軍の状況はどうですか。

ロペス ロシア軍は兵士の遺体や負傷者を戦場から搬送しません。収容したり救出したりするのではなく、ただ戦場に置き去りにするのです。ロシア軍は遺体や負傷兵をそのまま残していきます。これに対しウクライナ軍は一兵残らず連れていこうとします。これは私が教えていることです。戦闘外傷救護の衛生兵はすべての兵士を搬送して助けようとします。しかしロシア軍は何のためらいもなく自軍の負傷兵を放置していくのです。

――ロシア兵であっても救うのですか? 彼らの命を?

ロペス 戦場に残された命は、敵であれ、味方であれ、すべて救うのです。それはジュネーブ条約に定められています。敵兵が負傷して捕虜になったら、彼らの世話をしなければならないのです。