NATO東進はロシアのキューバ危機
筆者は、ウクライナNATO加盟はロシアにとってのキューバ危機に相当すると考えます。
1962年の第1次キューバ危機では、ソ連はキューバにミサイル基地を建設しました。
ミサイルを積んだソ連輸送船がキューバに近付いた時、若き米J.F.ケネディー大統領はキューバ封鎖を断行してソ連輸送船を捕捉、攻撃態勢をとりました。
米J.F.ケネディー大統領とソ連邦N.フルシチョフ第1書記の合意によりソ連はミサイル運搬輸送船を帰投させ、米国はトルコから軍隊を撤収しました。
ところがトルコからの軍隊撤収は非公開としたため、ソ連側が一方的に譲歩した形で世界中のマスコミが報じました。
この結果何が起こったのかと申せば、ソ連国内でフルシチョフは一方的に譲歩したと批判され、失脚してしまいました。
米露外相会談が2022年1月21日にスイスのジュネーブで開催され、ロシア側は改めて「NATO東進せず」を文書で確約するように求め、米国はロシア側の要求に対し1月30日までに文書で回答することを約束しました。
これに対し、1月22日の露タス通信は「米WP(ワシントン・ポスト)紙によれば、米国はロシア側に米国の回答を非公開としてほしい」と要求したと伝えています。
とすれば、まさに第1キューバ危機と同じ状況が出現して「歴史は繰り返す」ことになり、その結果も透けて見えてきます。
露プーチン大統領は当然、第1次キューバ危機の経緯と結果を熟知しているはずで、ロシア側対応も注目されます。
米国はウクライナに武器供与を発表。実際に、1月22日には武器弾薬をウクライナに搬入しました。
この事態を受け、ではこれからロシアが何をするのかと申せば、ロシアは第2次キューバ危機を演出すると予測します。
すなち、ラテンアメリカにロシア製ミサイルを配備すると脅すことになるでしょう。
ではどこに配備するかと申せば、キューバやベネズエラになりましょう。
ロシア製ミサイルを積んだ輸送船をキューバやベネズエラに向かわせれば、米国はこの輸送船を拿捕するはずです。すなわち、1962年のキューバ危機の再来になります。
第1次キューバ危機はケネディーとフルシチョフの協議により、ソ連は輸送船を帰国させ、米軍はトルコから撤収しました。
第2次キューバ危機は、プーチン大統領がミサイル運搬輸送船を帰国させ、バイデン大統領はNATO東進せず(ウクライナの加盟阻止)を約束することで解決するでしょう(これは密約になるはずです)。