ロシアによる侵攻が懸念されるなか、ウクライナ・キエフの公園で訓練を行う軍隊予備軍・ウクライナ領土防衛軍のメンバーたち(2022年1月22日、写真:AP/アフロ)

(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)

 ロシアがウクライナ周辺に軍事力を集中させており、今、この瞬間に侵攻が始まってもおかしくない状況と言われています。そのためアメリカ、そして欧州各国がロシアの侵攻を思いとどまらせるべく動きを強めています。

 ところが、このような情勢にもかかわらず、日本政府はロシアと平和条約締結交渉を行っている模様です。

 各国がロシアによる侵攻を阻止すべく動いている中で、日本がこのような姿勢を取り続け、もしもロシアが攻撃を開始すれば(しなくとも)、日本は欧米諸国から非難されることでしょう。

 思い出されるのは、1991年の湾岸戦争です。日本は、金は出したものの人的貢献を行わず、非難を浴びました。

 また将来、中国による台湾侵攻や北朝鮮による何らかの軍事行動が勃発した場合、日本にも被害が及ぶ可能性が大ですが、今回のロシアによるウクライナ侵攻に目をつむり続けた日本を助けてくれる国はないでしょう。

 ロシアによる東欧への侵攻は、極東日本のマスコミにとっては対岸の火事であり、大きな関心を持って報じられているとは言えません。しかしながらこのままでは、日本は深刻な外交的損失を招きかねません。

 そこで以下では、ロシアによる軍事侵攻に対して日本ができること、そして日本がすべきことを、元自衛官の目線で考えてみたいと思います。