男と女が結婚し、その2人の性行為が種族保存に関連するのは結婚当初から4~5年ほどで、残りの夫婦の生涯における性は種族保存とは全く無関係の性自体を愉しむための行為ということになる。
この性エネルギーの生殖行為以外への転用をサブリメーション(昇華・高揚)という。
快楽や娯楽といった生殖以外を目的とした性行為を行う動物は、人間以外でも観察されている。
例えば挨拶や親睦を図るため性行為を行うチンパンジーやボノボ、イルカやライオン、犬なども生殖以外の快楽や娯楽目的での性行為が確認されている。
性的な関心が低いと死亡率が上がる
人間とは素直でない生き物とみえて、性欲の昇華は悪しきもの、隠されるべきものとされがちだが、性行為には老化防止の効果があることは古今東西、広く知られている。
性欲と老化という観点からみれば知覚、思考、記憶など脳の高次機能を司る大脳皮質や、短期記憶を司る海馬より、自律機能の調節を行う大脳の視床下部や中枢神経系を構成する脳幹部が性的欲望と老化制御の促進において重要とされる。
性欲はステロイドホルモンの一種である「性ホルモン」と視床下部にある「性中枢」と性の対象となる「外的刺激」よって発現する。
「性ホルモン」は30歳までがピークで以降分泌は減少するが、男女共に生涯性ホルモンは分泌される。
「外的刺激」は五感による刺激、特に相手の容貌、教養、所作などが性的欲望を発動させる。