生命精気は生命を活動させるもととなり熱を発生させる。
環境精気は個体を維持する働きがあり、若い時期には潤いや柔軟性が維持されるが、歳を重ねるごとに乾きや硬化に向かうのは環境精気の衰えによるものとされる。
あらゆる生命は雄と雌の性行動により新たな生命を生み出し、生命遺伝子をその命に伝えることで子孫を存続させる。
この場合の性行動は本能だが、人間の性的欲望をいかにして抑制するかということは、もはや本能の次元ではなく、意思によってコントロールが可能になるとことを意味する。
つまり、日常生活においては性欲には時にブレーキをかけなければならない場合があり、社会に秩序がある以上、性的欲求が沸き上がったからといって、いつもその性欲が無秩序に解放されるというわけにはいかない。
それが人間の社会性における性の一つの宿命といえる。
しかし、ブレーキの踏み方ばかりが巧みでも、アクセルを踏まなければ車は動かないのと同じように、性欲を抑えるだけでは、いずれ射精不能や勃起不全を招く恐れがある。
性交は生殖に至る道であり、人間や象、鯨など一部の生物種を除けば、生物界では多くの動物は生殖機能が喪失し、子孫をつくることができなくなると、その命は営みを終えるという掟がある。
生殖以外を目的とした性行為を行う動物
脳の大きさには長寿との関係がある。
脳の容積の比率である脳化指数の値が高いほどその個体は長命で、人間や象、鯨やイルカなど脳化指数の高い個体は、脳化指数の低い鳥や馬、牛、豚と比較すると寿命は圧倒的に長い。
脳は外界を認識し、学習や記憶を司り、身体全体をコントロールする。性欲の発動は脳によるものだが、動物は性欲を交尾、そして種の保存の達成に利用する。
しかし、人間は性的欲望を生殖以外の目的のために転用できるという特質をもっている。