テトラ・アビエーションの空飛ぶクルマ

 昨今、「空飛ぶクルマ」という言葉が話題になるようになった。この空飛ぶクルマとは、ドローンに人が乗るような乗り物だ。

 滑走路なしで離陸でき、クルマのような手軽な空の乗り物として期待されているようだ。

 最近ではトヨタ自動車がこの世界に参入すると報道され、世間の注目度は高まっている。確かに、本当に誰もが手軽に空を飛べるようになると考えると、夢のある話だ。

 残念ながら、空飛ぶクルマの開発は、海外が先行しているのが実態だが、日本でも空飛ぶクルマの開発に参入する企業は存在する。

 筆者は、その中のテトラ・アビエーションというベンチャー企業を見学する機会を得た。

 テトラ・アビエーションは、まだ従業員5人の小さな企業であるが、ボーイングがメインスポンサーをする「GoFly」という飛行機開発のコンテストで表彰された実力派である。

 このコンテストには数百チームが参加したが、賞金を得たのはテトラ・アビエーションだけだったと言う。将来の活躍が期待される。

 空飛ぶクルマにおいて日本の企業が世界で実力を認められたのはうれしいことだ。

 日本の航空産業はこれまで欧米に後れをとってきた。しかし、空飛ぶクルマによって、日本企業の作った空を飛ぶ乗り物が世界に羽ばたいていくことになれば、素晴らしい。

 一方で、空飛ぶクルマは他の様々な新技術と同様、期待感のみが先行している雰囲気を感じる。実際、航空機に詳しい方々からは、将来性について厳しい意見が多いのも事実だ。

 この記事では、期待と批判が入り混じる日本発の空飛ぶクルマの可能性について考えてみたい。