燃費で固定翼機に圧倒的に劣るヘリコプターよりも非効率なのだ。空飛ぶクルマの大半は固定されたピッチのプロペラで浮揚するが、それでは原理的にヘリコプターと同じ効率を達成することが困難である。

 配置の自由さやその他の技術的な工夫によって非効率を補う希望がないわけではない。それに効率が悪くても、それを補ってあまりある利便性があれば有用な乗り物となろう。

 しかし、現時点で、空飛ぶクルマは効率の悪さを克服できる見通しも、ヘリコプターにない利便性も見えていない。

 空飛ぶクルマは、今後の開発の中で、固定翼機やヘリコプターに対する空飛ぶクルマにしかない優位性を見つけ、うまい居場所を確立しなければ、普及は難しいだろう。

実は定まっていない形状

 現時点で空飛ぶクルマの形態もサイズもバラエティーに富んでいる。地面と平行に装備した複数のプロペラを備えているということ以外、バラバラである。

 例えば、テトラ・アビエーションで製造しGoFlyで入賞した機体では、プロペラの配置面が前方の2基と後方の2基では異なる。そして、他の多くのモデルにはない固定翼を備える。

テトラ・アビエーションの空飛ぶクルマの配置。角度を変えて配置した4つのプロペラと、前進時に揚力を補う翼を備える

 これは、固定翼の揚力で浮揚するために必要な力の一部を担い、プロペラの力をより多く推進に用いることで、速度と燃費の両方を稼ぐことを目指している。

 前述の、空飛ぶクルマの効率の悪さを補う技術的工夫と言える。

 空飛ぶクルマは配置、形状の自由度が大きく、そこに効率の悪さを補えるかもしれない希望がある。また、固定翼機ともヘリコプターとも違う形状から、それらにない利便性が生まれるかもしれない。

 しかし、今のところどのような形状が最も良いのか、まだ答えが見つかっていない。例えば、多くの空飛ぶクルマでは、乗員の下や真横にプロペラが配置されている。