三菱スペースジェットは、5月から新型コロナウイルス感染症による航空不況対応で、開発体制を縮小する検討を始めた。
主力モデルになるはずだった「M100」の開発を休眠とした。6月15日には、型式証明取得のため、当時はライバルだったボンバルディア出身で、開発責任者に就任していたアレックス・ベラミー氏の交代が発表された。
開発体制の方向性が定まらないように見え、いろいろな方向から批判されるのであろう。
開発の遅れを重ねてきた上、さらにコロナ禍の影響まで受け、スペースジェットに関する報道や論調は、悲観論と批判一色である。
確かに、開発遅延や開発費の肥大化など、スペースジェットにはネガティブに語ることのできるネタはいくらでもある。
では、本当に暗い展望以外、描きようがないのだろうか。
スペースジェットの開発遅延のみに注目すれば、確かに良い状態ではない。しかし、将来性は競合先との関係や航空機市場での位置づけによっても決まるものである。
スペースジェットには、まだまだ戦える要素はいくらでもあるのだ。
実はライバルもボロボロ
三菱スペースジェットがスタートした時、ライバルは事実上2社いた。カナダのボンバルディアとブラジルのエンブラエルである。
細かいことを言うと、中国やロシアにも近いサイズの機種があるが、これらはスペースジェットが目指す北米市場には出てこない。
ライバルだった2社のうち、ボンバルディアはリージョナルジェットの製造から撤退することになり、サービスやマーケティングなどの機能を三菱重工業に売却している。
これらの組織は三菱重工傘下のMHIRJとなった。