モーターと小型のプロペラは、固定翼機の主翼やヘリコプターのローターと比べると、配置の融通が利く。
そのため、空飛ぶクルマと言われている有人ドローン型の乗り物は、固定翼機やヘリコプターと比べれば、形状は自由に選べる。
これは既存の航空機にない空飛ぶクルマだけの特徴である。
しかし、この特徴を生かして固定翼機やヘリコプターではできないことを実現できたかというと、そうではないのがツライところなのだ。
また、手軽な乗り物になるようなことを語られるが、空飛ぶクルマと呼ばれている種類のものが、他の航空機よりも手軽になるということに技術的な合理性はない。
浮揚するための力が失われれば墜落することは、他の航空機と全く変わらない。
空を飛ぶためにクルマとは比べ物にならない軽量化と飛ぶためのエネルギーを要求され、安全性も航空機レベルで求められる。そうである以上、手軽な乗り物になることはあり得ない。
これは、航空機について多少の理解があれば、常識的に分かることである。
MaaS革命という、空飛ぶ乗り物が誰でも簡単に手に入るという論調には、非常に素人臭いものを感じざるを得ない。そんなのは、あるとしても22世紀か23世紀の話だ。
空飛ぶクルマには、優位性がないどころか、大きな弱点がある。