やはり期待先行?
空飛ぶクルマが話題になってから、今すぐにでも手軽な空飛ぶ乗り物が実現するように言う人がいる。クルマのような手軽さが誰にでも手に入るということで、空飛ぶクルマというネーミングがなされているのだろう。
空飛ぶクルマが人の移動(Mobility)を革命的に変え、MaaS革命(MaaSはMobility as a Serviceの略)を主導するという声もある。
しかし、現状では空飛ぶクルマと呼ばれているものが、そのように普及するかですら明らかではない。なぜなら、既存の航空機に対する優位性が全く見えないからだ。
ほとんどの空飛ぶクルマと呼ばれているものは、複数の地面と平行に装備したプロペラを持ち、垂直離陸をするものだ。そして、電動で飛行しプロペラはモーターで回転する。
こうした空飛ぶクルマのメリットとして、電動によるメンテナンス性の向上や燃料(電気)コストの削減、自動運転化によるパイロットの不要化、どこでも着陸できることなどが語られる。
しかし、電動化や自動運転化は固定翼機(翼で飛ぶ一般的な航空機)やヘリコプターでも可能であり、空飛ぶクルマだけのメリットではない。
また、垂直に離着陸できることはすでにヘリコプターで実現済みである。なお、垂直に離着陸できればどこでも着陸できるわけではないことには留意が必要である。

電動で固定翼機を飛ばす研究はなされているし、小型機では実用化はそう遠い世界ではない。
空飛ぶクルマのメリットとして語られるものは、固定翼機やヘリコプターなどの既存の航空機と変わらないのだ。
言い換えれば、よく空飛ぶクルマの優位性と言われているものには根拠がないのだ。