方々から指摘されているが、これでは、事故時にプロペラが飛散すれば乗員を直撃する危険性が高い。こうした配置には見直しが入る可能性が少なくない。
形状が定まっていない以上、ヘリコプターに比べた効率悪化の程度や空飛ぶクルマにしかない優位性も定まりようがない。空飛ぶクルマの可能性はまだわからないのだ。
場合によっては、空飛ぶクルマはヘリコプターに対する優位性をうまく出せず、用途が見出せなかったり、限りなく限定される可能性も十分にある。
形態の自由度から、最大限のメリットを得られる形態や、そこから導ける魅力的な用途を考えられるかが、空飛ぶクルマにとって勝負となるのだろう。
空飛ぶクルマ開発の意義
空飛ぶクルマの可能性がまだ未知数であるからと言って、空飛ぶクルマの開発に意味がないということにはならない。
まず、仮に空飛ぶクルマが普及していくことになれば、日本も開発をしておかないと、完全に取り残されることになる。既存の航空産業と同じような運命をたどりかねない。
また、三菱スペースジェットの開発停滞で心配されることだが、航空機開発を日本で誰かが行わないと、日本は航空産業を維持できない。
航空産業を維持する人材を育てるには空飛ぶクルマの開発は有用である。
テトラ・アビエーションがGoFlyで入賞した機体は、無人機カテゴリーであるのだが、FAAの型式証明を取得している。
もちろん、無人機カテゴリーでは、三菱スペースジェットはおろか、ホンダジェットと比べてもはるかに単純なものである。それでも、自分の手で型式証明取得のようなことを経験できることは貴重である。
それに、日本の航空産業ではなかなか経験を積むことができない、一機の航空機全体をまとめ上げるという経験も積むことができる。
当然のことながら、空飛ぶクルマも空を飛ぶ以上軽量でなくてはならないし、モーターは軽量で高出力、電池も軽量で大容量ということが要求される。