日本海における中国軍艦艇および航空機の活動は、東シナ海や南シナ海と比較すると必ずしも多くない。
しかしながら、最近徐々に活発化する兆しがある。
中国は日本海と接するいかなる領土も保有していない。日本海における活動の活発化には中国の長期戦略が潜んでいると見るべきであろう。
そこで、最近増強しつつある中国軍の艦艇・航空機の日本海における活動を概観し、その意図および将来の動きを見積もるとともに、半島有事を含めた日本の安全保障への影響を考察する。
日本海に展開する中国の艦艇・航空機
自衛隊の監視活動において確認された中国軍艦艇などの動きに関する分析リポートが、定期的に公開されている。
当該リポートによると、当初中国海軍艦艇の日本海における活動は、「中露海上演習」に伴うものが主であった。
しかしながら、近年では中露海上演習に関連しない活動も増えつつあることが指摘されている。中でも以下の活動に注目する必要がある。
(1)中国海軍艦隊が敵味方に分かれて戦う演習(対抗演習)
2016年、米国海軍主催による環太平洋合同演習(RIMPAC)に参加した中国海軍ルーヤンⅡ級ミサイル駆逐艦、ジャンカイⅡ級ミサイルフリゲート艦など4隻は太平洋から宗谷海峡を(図①)、同日ジャンカイⅡ級ミサイルフリゲート艦など3隻が東シナ海から対馬海峡を通過して日本海に入った(図②)。
両艦隊が日本海を行動中であった同じ時期に、「Y-8」早期警戒機1機および「H-6」爆撃機2機が2日間にわたって日本海を飛行している(図③)。
中国海軍艦隊が敵味方に分かれて戦う演習(対抗演習)