意外な要素、「重さ」が食べ物の味を左右していた

食器の重さも影響する人間の感覚の不思議

2019.12.13(Fri)漆原 次郎

「重要さ」と「重さ」に関わりあり

 21世紀に発展してきた企業マーケティングの1つに「感覚マーケティング」がある。マーケティング研究者のアラドナ・クリシュナによると、「消費者の感覚に強く影響を与え、消費者の知覚、判断、行動に影響を与えるマーケティング」のことを指す。

 従来から、企業は商品の特長を「五感に訴える」ことをしてきたが、感覚マーケティングでは、単純な因果関係でなく、複数の感覚が関わる関係性を探ったり、消費者行動とは無関係に思えるような刺激にも目をつけたりするという。「重要であること」と「重さがあること」は、深く関わっているのだ。

 食品を対象とした研究ではないが、物理的な重さを伴う広告写真を提示された人は、その広告内容の記憶想起が高まったり、その広告製品への信頼性を高く知覚したりするといった実験結果も、千葉商科大学と成蹊大学の研究チームにより報告されている*4

 風味そのもののよさを追求してその成果を料理として提供することだけでなく、食を体験する環境要因もまた大切であることを、こうした「重さ」をめぐる研究は伝えてくれる。

*1:Betina Piqueras-Fiszman, Charles Spence “The Weight of the container influences expected satiety, perceived density, and subsequent expected fullness.Appetite 58(2) 559-562 (2012)
*2:Vanessa Harrar, Charles Spence “The taste of cutlery: how the taste of food is affected by the weight, size, shape, and colour of the cutlery used to eat it.Flavour 2, 21 (2013)
*3:廣瀬雅治、岩崎花梨、野尻梢、武田港、杉浦裕太、稲見昌彦 「おもみ調味料グラビトミン酸:食材のバーチャルな重さの制御を利用した知覚変化システム」 日本バーチャルリアリティ学会論文誌 19(4) 541-550 (2014)
*4:外川拓、石井裕明、朴宰佑 「『硬さ』『重さ』の感覚と消費者の意思決定 ─ 身体化認知理論に基づく考察 ─」 マーケティングジャーナル 35(4) 72-89. (2016)

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