日本の選手たちの活躍も刺激に

 今シーズン、いつも万全であったわけではない。吉田は足の怪我があった。

「今も痛みが続いている中での練習だったり試合だったりするんですけど、本番ではあまりそれを言い訳にはしたくないです。痛くないと言い聞かせて、真沙也君だったりコーチだったり、スタッフの皆さんもサポートしてくださっているので、そこに不安がある状態で試合に臨んだりはしていないので自信をもってやっていました」

 森田も落ち着いて受け止めていたという。

「今シーズン、ずっと怪我もあるんですけど、やることは変わりないですし、(唄菜は)すごく強いのでめちゃめちゃ心配もしていないです」

 そして現実のものとしたオリンピック。そこで演技をしてみて、「自分らしさを、強みをより磨いていきたい」とより強く思うようになった。

 吉田が語る。

「特にリズムダンスは、私たちの曲が始まってすぐに会場の皆さんが手拍子で盛り上げてくださって、滑っていてほんとうに楽しいと思えました。私たちの魅力は、会場の皆さんを一気に引き込めることかなと思います」

 森田は「同じです」と続く。

 同時に、課題も感じ取った。

「でも、そこがジャッジの皆さんに届いていないかなと思うので、会場だけでなくジャッジの皆さんにも伝えられるようにしていきたいと思います」(吉田)

 団体戦のあと、日本の選手たちがそれぞれの種目で活躍した。三浦璃来&木原龍一が金メダルを獲得した瞬間はリアルタイムで観ていたという。2人をはじめ日本の選手たちの個人戦での活躍も刺激になっている。

「すごく感動して、私もメダルを獲りたいと思いました。頑張っていけば必ず達成することかなと思うので、頑張っていきたいです」(吉田)

「それこそ唄菜ちゃんと組んだ当初から、オリンピックや世界選手権でメダルを獲ることを目標に始めたので、獲りたいです」(森田)

 3月には世界選手権が控える。その大会を、そして4年後を見据える。

 森田は言う。

「今シーズンは3月末に世界選手権が残っているので、もっといいプログラムになるようにブラッシュアップを続けているところです。4年後のオリンピックに向けてはもちろん個人戦に出場することを目標に、個人戦でもいい順位を、いい点数を獲っていきたいし、団体戦にも出場して、今度こそは金メダルを獲りたいなと思います」

 吉田も4年後を心に描く。

「ここから私たち2人で、レベルアップしたいなと思います。4年後のオリンピックでは団体戦、個人戦の両方に出場できるように頑張っていきたいです。今回、団体戦ではほかの皆さんに助けていただいたので、次の団体戦では私たちが最前線になって演技ができるような、強い選手になれていればいいなと思います」

 オリンピックの期間中は、「ショートトラック、スピードスケートの選手と話す機会があって、靴の作りの違いとかを話しました。選手村でも、フィギュア以外の選手と交流できました」(森田)、「勝手にファンをしているカナダのショートトラックの選手と写真を撮ることができたり、そういう選手村での経験は大きかったです」(吉田)。

 そうしたオリンピックならではの体験もきっと糧にしながら、2人は4年後を胸に、歩んでいく。

*JBpressでの連載「フィギュアスケートを支える人々」(2024年8月30日公開までの一部)と、書き下ろしを含む電子書籍『日本のフィギュアスケート史 オリンピックを中心に辿る100年』(松原孝臣著/日本ビジネスプレス刊)が発売中です。

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