「未来社会」を謳う大阪・関西万博の報道・広報対応はいかに

 同じような参加要件をクリアすれば、おそらく公共事業である大阪・関西万博も取材できるだろう。そう思って日本国際博覧会協会の公式サイトにアクセスした。

「いのち輝く未来社会のデザイン」とテーマを掲げた万博で、「いのち」がどのように表現されているのか、どのように感じられるのか。ウクライナやイスラエルの展示がどういうものか、8月に予定されている広島県による展示「被爆80年―いのち輝き、おいしいがあふれる広島のピース&エナジー」がどんな内容なのか。その辺りに関心があった。

 だが正直なところ、展示内容以上に関心があったのは、協会の報道・広報対応についてだった。しんぶん赤旗に、マスメディア各社に交付される関係者入場証(AD証)が交付されなかった件や、フォロワーが10万人いるインフルエンサーにはAD証が与えられることなどを知るにつれ、「万博の取材をする資格があるのは誰なのだろう」という疑問が湧いたのだ。

 結論から先に言うと、現状私にはAD証はおそらく交付されない。なぜなら、協会の広報担当者から示された要件をおそらく満たすことができないからだ。

2025年大阪・関西万博 東ゲート。手荷物検査を経て入場する来場者(写真:田中庸介/アフロ )

 規定通り、正面玄関(公式サイトの規定のフォーム)から取材パスがほしい、という旨の問い合わせをした。すると、「協会指定報道機関の長のサインの入った推薦状」の提出を求められたのだ。協会指定の報道機関とは何か。それは以下のいずれかという。

「日本新聞協会加盟社」「日本民間放送連盟加盟社」「日本外国特派員協会正会員加盟社」「外務省発行の有効な外国記者登録証保持者」「日本雑誌協会加盟社」「日本専門新聞協会加盟社」

 それらの「長」つまり責任者の推薦状が必要だというのだ。

 前述の通り、私は複数のメディアに記事を執筆した経験があるが、その時に相対するのは担当編集者だ。だが、万博協会は「長」「責任者」の推薦状がない限り「フリーランス」の取材者として認めないという。フリーランス記者の業務実態をどれほどわかってそのような要件を求めているのだろう。あるいはただ単に、殊更に高いハードルを設けて排除したいのだろうか。