(宮崎園子:広島在住フリーランス記者)
日本被団協のノーベル平和賞受賞という栄誉に比して、あまりに質素な広島市の対応
マザー・テレサやマーティン・ルーサー・キング牧師ら、世界平和に尽力した各国の偉人たちが受賞者に名を連ねる、国際的に栄誉のあるノーベル平和賞を受賞したのに。新聞もテレビも大々的に報じたのに。どうして、たったあれだけなのだろうか。

広島の平和記念公園を歩いていて、広島平和記念資料館本館の西側、広島国際会議場の3階の窓に貼られた文字を見上げるたびに、そんな思いを抱く。
「祝 日本被団協 ノーベル平和賞」
「被爆者の平和への願いを世界へ」
白い横長の紙に黒字で書かれた文字。広島と長崎の被爆者たちでつくる全国組織「日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)」が、2024年のノーベル平和賞を受賞したことを受けて、核兵器廃絶に向けた「機運醸成」のために広島市が掲げたものだ。

「歴史的なサミットは県民や市民の誇り」
適切に祝意を示しているではないか。それだけ見れば誰しもそう思うかもしれない。ただ、平和記念公園内をぐるっと歩けば、私の脳裏をよぎる問いをお分かりいただけるはずだ。
以前このコラムでも言及したことがある「G7広島サミット記念館」。広島平和記念資料館の東館を出ると目の前に現れる白い建物がそれだ。

2023年5月に広島で開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)について、「各国首脳等が広島の地に一堂に会した歴史的なサミットを県民や市民の『誇り』とし、未来につなげていくため」、「サミットの開催を想起する代表的な品々等を公開する」。それが、開設時のプレスリリースの文言だ。