「戦争が終わるまで、兵士であることを辞めない」
ボブチャンスクの後方基地に滞在中、砲撃音が絶えることはほぼなかった。遠くでは常にボーンボーンと重い砲撃音が聞こえる。たまに近くでも爆発音がする。
早朝に巡航ミサイルが着弾し、轟音が響いて驚いて目が覚めたこともあった。
兵士たちはたとえ任務が無い日でも、常に危険と隣り合わせだ。気が休まらない中、彼らは雑魚寝で暮らしている。「家が恋しい」そんな言葉を何度も耳にした。一年以上家に帰っていないという。
「家族に来てもらうことはないのか?」と聞くと「危険な東部に呼ぶことはしたくない」と答えた。子供がいる場合は特にそうだ。たまに家族が荷物を送ってきたりしてくれる人もいる。
現在ウクライナでは、兵士が不足している。徴兵逃れも頻発している。また、ロシアが攻勢を強めている状況だ。このため、次の休暇がいつ貰えるのかも不明だと語った。
「次いつ家に帰れるかなんて、確認する気にもならないよ」とうつむきながらある兵士は言った。
それでも、「この戦争が終わるまで、兵士であることをやめない」と皆口をそろえた。