(舛添 要一:国際政治学者)
ウクライナ戦争の停戦を目指すトランプ大統領は、ウクライナの頭越しにプーチン大統領と協議し始めた。戦争の一方の交戦国であるウクライナは完全に無視された形である。2月20日、キーウでゼレンスキー大統領は、アメリカのケロッグ特使(ウクライナ担当)と会談したが、会談後に予定されていた共同記者会見はアメリカ側の要請で中止となった。
ゼレンスキーは、ウクライナ抜きの停戦交渉は受け入れられないと反発を強め、ヨーロッパ統一軍の形成を促しているが、それは可能なのだろうか。
トランプのウクライナ認識の間違い
ウクライナや今回のロシア軍の侵略について、トランプは、プーチンに洗脳されたのか、極めてロシア寄りの認識を明らかにしている。
18日、トランプは、戦争の責任はウクライナにあるとして、「そもそも戦争を始めるべきではなかった。取引できたはずだ」と述べた。そして、停戦交渉の場から外されたウクライナが不満を抱いていることを揶揄し、「この3年間、そしてそれよりもずっと前から席はあった。かなり簡単に解決できていたはずだ」とゼレンスキーを批判した。これも、ロシアの主張と同じである。
さらに、ゼレンスキーの支持率がウクライナで4%しかないと語ったが、それも事実と異なる。19日公表のキーウ国際社会学研究所によると、今月4〜9日に実施した世論調査では、支持率は57%で、前回(昨年12月)の支持率よりも5%上昇しているという。どう考えても荒唐無稽な4%という数字は、どこから仕入れてきたものなのか。