そこで、ゼレンスキーは、2月15日、ミュンヘン安全保障会議で演説し、ヨーロッパ諸国に対して、自力での防衛力としてヨーロッパ統一軍を作ることを提案した。しかし、その提案を実現するのは容易ではない。
第二次世界大戦後のヨーロッパの努力
実は、第二次世界大戦後に、欧州軍を作る計画はあった。
近代史を振り返ると、ヨーロッパの主たる戦争は、19世紀の普仏戦争、20世紀の第一次世界大戦、第二次世界大戦である。いずれもフランスとドイツの間で戦われたが、両国の国境地帯にある石炭と鉄鉱石の獲得競争が原因であった。そこで、この2つをヨーロッパ全体で管理すれば、戦争の原因を除去できるとして、フランス、西ドイツ、イタリア、ベネルクス3国の6カ国は、1952年にヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC)を発足させたのである。
1957年には、6カ国はヨーロッパ経済共同体(EEC)を組織し、同時にヨーロッパ原子力共同体(EURATOM)を発足させた。当時の世界では、核開発は米ソ二大国の独壇場であった。
1967年には、ECSCとEECとEURATOMが統合されて、ヨーロッパ共同体(EC)となった。
1999年1月には、単一通貨ユーロがスタートした。
2009年には、ECはヨーロッパ連合(EU)となり、現在27カ国が加盟している。