しかし、残念ながら今は戦時だ。窓は全て鉄のカバーでおおわれている。攻撃があった際に、ガラスがむき出しなのはとても危険だからだ。

 実際、周囲にはいたるところに攻撃の跡が残っていた。

 鉄のカバーは全ての基地についているわけではない。たまたまこの保養所は元々鉄のカバーがすべての窓に設置されていたのだろう。

 このカバーは安全性を高めてくれるが、同時に携帯の電波も遮断してしまう。屋内は電波が非常に悪く、みな弱弱しい電波が上手くつかめる場所を探してスマホをいじっていた。この電波環境で動画を見るのは困難だ。

ログハウス調の基地とカバーでおおわれた窓(写真:筆者撮影)
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「情勢は悪くなっている」前線の兵士の共通認識

 一見、ログハウスで迷彩服を着た男性がゴロゴロしているだけのような場所にも見えるが、彼らは、“今日は”任務がないだけである。いつだれが任務に行って、どうなるかはわからない。

 任務に行かなくても、前線から近い基地であるだけで危険だ。近くには攻撃対象となりえる軍事用車両が止まっている。いつドローンに狙われてもおかしくない。

 ロシアに押されて情勢は悪くなっている。それはここの共通見解だった。

ウクライナ・ハリコフ地方のボブチャンスク市近くの前線でロシア軍に向けて120mm迫撃砲を発射する準備をするウクライナ軍第57独立自動車化歩兵旅団の兵士。2025年1月16日(写真:ロイター/アフロ)
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