反日から親日に主張を変えはじめた韓国野党・共に民主党代表の李在明氏(写真:ロイター/アフロ)

(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

 李在明(イ・ジェミョン)氏の親日発言が、このところ韓国で物議を醸している。

 李氏といえば、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾審判が大詰めを迎えているなか、次期大統領の最有力候補としてダントツの人気を誇る。とりわけ日本では、“反日の権化”として知名度が高い。

 これまで、日本に対して極めて強硬的な発言を繰り返してきた。とりわけ記憶に新しいのが、東京電力福島第1原子力発電所で2023年8月から始まった処理水の海洋放出をめぐる抗議活動である。

 処理水のことを「汚染水」と呼び、一時期は毎日のように韓国から日本に向けて、「放出反対」とシュプレヒコールをあげていた。海洋放出が実施されると「断食」を決行し、18日目に病院に移送されるも断食は継続。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領らの説得もあり、24日目でようやく中断した。

 まさに命を懸けて日本を批判し、韓国を守り抜くというイメージ戦略を得意としてきたのだ。

処理水放出に抗議をしてハンストを実施している李氏(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 李氏の対日強硬姿勢は枚挙にいとまがない。

 21年7月には、朝鮮半島が南北に分断されていることを念頭に置きながら、「侵略国家である日本が分断されるべきだった」と発言。23年1月には元徴用工問題をめぐり尹政権が財団が賠償を肩代わり案を打ち出すと、「韓国企業に賠償責任を転嫁するものだ」と間髪を入れずに批判。慰安婦被害者に賠償を命じた同年11月のソウル高裁での判決に対し、日本政府が上告せず判決が確定すると、「日本政府は反省はおろか、厚かましい対応で応酬した。盗人猛々しい態度を見せている」と強い言葉で非難している。

 だが、李氏の反日的言動としてもっとも忘れてはいけないのは、「新親日派撲滅」による反政府キャンペーンである。