トランプ2.0が目指すレーガン型の大統領

 さらに、経済面ではインフレを克服し、コストと価格を急速に引き下げるために、権限を結集するよう閣僚全員に指示すると宣言して会場の拍手を集めた。インフレ危機の点では、エネルギー価格の高騰が要因だとして国家エネルギー非常事態を宣言し、石炭や石油、天然ガスなどをとことん掘削する方針を示した。

 この関連では、グリーン・ニューディール政策を終わらせ、電気自動車の義務化を撤回。米国の自動車産業を救うとも述べた。

 演説では、国際社会の中でアメリカがどう活動するかという対外政策の理念は語られず、「アメリカが巻き込まれるべきではなかった戦争をやめさせる」と述べたほかは、パナマ運河の管理権を中国から取り戻し、メキシコ湾は「アメリカ湾」と呼び方を変えると強調しただけだった。

 演説の後半では国家の団結が戻りつつあることを強調し、2.0政権のレガシー(遺産)は「平和の使者」であり「国の団結を促した人物」となることだと述べた。これはワイルズ氏が狙う、国民団結を訴えたレーガン型の大統領を目指す意図が織り込まれており、このトーンは今後のトランプ政権の成否を占う意味でもポイントになるだろう。