署名した大統領令を掲げて見せるトランプ大統領(1月20日ホワイトハウスの執務室で、写真:ロイター/アフロ)

就任式は暴徒乱入のロタンダで

 氷点下5度強の厳しい寒さのなか、米連邦議会議事堂内のロタンダ(円形大広間)に進軍ラッパが鳴り響いた。

 ドナルド・トランプ氏(78)が1月20日、米大統領に返り咲いた。

 厳しい寒さのため、大統領就任式は議事堂前ではなく、4年前にトランプ支持派の暴徒が乱入、一部を破壊した議事堂内で行われた。

 トランプ氏は、いつもの絶叫調は封印し、落ち着きと余裕を漂わせながら就任演説を行った。

「わくわくするような新時代が始まる」「米国の黄金時代が今始まる」

Trump sworn in, signs executive actions | CNN Politics

 その心は、「米国第一主義」。

「世界の警察官」として世界中の圧政や反民主主義を撲滅し、米国流の民主主義を拡散するという理想はかなぐり捨てる。

「米国の核心的利益」を徹底的に追求する。

 米国民の3.3%にもなった不法移民を国外追放し、米国から遠く離れた国の戦争に血税を注ぐのではなく、自国の貧富の差をなくすためにカネを使う。

 トランプ氏の演説に、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は「欧州に対する警鐘だ」「米艦隊は地中海からいなくなる」と言い出した。

 米国が世界の警官づらして口出しするのも煩わしかったが、反グローバリズムの利己主義者になるのもヤバイ・・・といった心境だろう。

Macron Responds to Trump's Inauguration by Urging Europe to 'Wake Up' 

 就任式には史上初めて外国首脳を招いた。

 トランプ氏は真っ先に習近平国家主席に招待状を出したが、習近平氏は名代としてナンバー2の韓正国家副主席を派遣した。

 石破茂首相に招待を出したかどうか定かでないが、日本側が日米同盟の重要性を説く過程で岩屋毅外相が招待された(いわば、押しかけ招待のようなものだった)。