キング師に逆行する大統領

 就任式になった1月20日は、奇しくも公民権運動のレジェンド、マーチン・L・キング師の誕生を祝う記念日。

 全米各地で式典が持たれたが、シアトルで開かれた式典では、著名な公民権活動家のケリー・ブラウン神学博士が、痛烈なトランプ批判を行った。

「今日、この日はスピリチュアル・オポチュニティ(神聖な事柄)を考える日だ。キング師は我々に光と愛と正義の重要性を訴えた」

「いかにしたらモラルを重んじる人間、倫理観と常識(コモンセンス)を持った人間になれるかを諭してくれた」

「この地上に隣人のことを慮るヒューマニティの実現を訴えた」

「だが我々の中には、ゼロサム・ゲームを楽しみ、他の人たちを顧みないダーク・ビジョンの輩もいる」

Inauguration on MLK Day is ‘spiritual opportunity,’ says local pastor)

 就任式に合わせて、市民団体「Free Speech for Peace」が、トランプ氏がトランプ・ワールド・タワーの外国政府向け賃貸で違法な報酬を得ていたことや大統領選中に人種、女性差別、反移民などで違法言動を行っていたとして、下院に対し弾劾調査を行うよう要求した。

Public Interest Group Calls For Immediate Trump Impeachment Investigation

 また、「Public Citizen」など4団体は、億万長者のイーロン・マスク氏らが長となる「政府能率化省」(DOGE=Department of Government Efficiency)の新設が「連邦諮問委員会法」(FACA=Federal Advisory Committee Act)に違反しているとして訴訟する動きを見せている。

「政府効率化省」はトランプ政権の「目玉」の一つだけに裁判で新設に手間取れば、政権にとっては痛手となる。