トランプ新政権発足、最優先課題はグリーンランドよりロシアと中国
6月までに米ロ首脳会談、中国には関税と軍事力ちらつかせ取引へ
2025.1.18(土)
高濱 賛
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「寡頭政権」は大胆でどでかい外交をやる
ジョー・バイデン大統領が去り際に「寡頭政権の到来」と警告したドナルド・トランプ政権が1月20日に発足する。
「影のホワイトハウス」で政権移行チームの一員を務めたトランプ氏の側近やマイク・ウォルツ次期大統領国家安全保障担当補佐官らは、こう定義付けている。
一、トランプ氏は、ビジネス方式をホワイトハウスに持ち込む。大統領は企業のCEO(最高経営責任者)のつもりで政治を動かす。
忠誠を誓った側近たちに激論させ、最終的には大統領が決断する。1期目の政権が犯した過ちは一掃する。
二、トランプ大統領は外交面でも大胆でどでかい政策(Big, Bold Steps)を展開する。
三、官僚たちが固執する外交上の慣例やしきたりなどは無視、必要とあれば大統領自ら外国首脳に電話し、真意をストレートにぶつける。
(日本は“ジャパン・ファーストで臨め”トランプ氏元幹部の助言「トランプ氏は石破総理大臣にも関心ある」 | NHK )
トランプ政権は、発足と同時に何から最初に手をつけるのだろうか。
ワシントンの外交筋は、まずロシアのウラジーミル・プーチン大統領との対話を再開すると見ている。
2月24日で4年目に入るウクライナ戦争の終結を第2期政権の最初の目玉にすることで、トランプ外交に勢いをつけたいからだ。
これは納税者のカネを「外国の戦争」にこれ以上使うのは「アメリカ第一主義」に反する、トランプ氏に票を入れた選挙民にとってはロシアの侵略もウクライナの主権もくそくらえという感覚なのだ。
そのためにはトランプ氏がプーチン氏と直談判する必要がある。
ウォルツ氏は1月12日、ABCテレビのインタビューでこう述べている。
「大統領は少なくとも数日間から数週間以内にプーチン大統領と電話会談をすることを期待している」
「相手と何らかの関係や対話を持たなければ取引に踏み切ることはできない。数か月以内にそれを確立する。電話はその一歩であり、そこから進めていくことになる」
「ロシアはウクライナでの戦線を安定化させ、何らかの取引ができるようになることが重要だ」
(Video Trump ready to take ‘big, bold steps’ to defend the US: Mike Waltz - ABC News)
つまり、就任前から就任後2月半ばまでにプーチン氏と電話会談を行い、6月までに首脳会談開催を決める腹積もりのようだ。
むろん、相手あっての話だし、プーチン氏としては戦争終結の絶対条件は目下占拠しているウクライナ東南部4州(ドネツク、ルガンスク、ザポリージャ、ヘルソン各州)、での戦闘が好転し、有利な形で安定することに尽きる。
一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領としても領土割譲での戦争終結は屈辱以外の何物でもない。
だがトランプ政権からはこれ以上の軍事支援は期待できず、トランプ氏の脅しの「取引外交」に抵抗できる手段は限られている。