党内から史上最低の大統領呼ばわり

 2021年のバイデン氏の就任式には、選挙結果を認めないトランプ氏がボイコット。前任大統領不在という前代未聞の就任式となった。

 今回、招待されても出席を拒んだのは、バラク・オバマ第44代大統領夫人のミシェルさんと、トランプ氏とは犬猫の仲だったナンシー・ペロシ元下院議長。

 理由は明らかにしていないが、2人とも「個人的な理由」とのみコメント。

 ミシェルさんは選挙戦の最中、「ホワイトハウスは大人になり切っていない人の住む場所じゃないわ」と痛烈なパンチを浴びせていた。

 また民主党下院議員19人が欠席した。

 反トランプの急先鋒、オカシオ・オルテス・コルテス下院議員(ニューヨーク州選出)は「強姦魔の大統領就任式には出ません」とコメントしている。

 バイデン氏はじめ民主党体制派の面々は皆就任式に出席したが、欠席組を中心に民主党内にはバイデン氏を激しく批判する声が出始めている。

 その主な理由は、こうだ。

一、2020年の大統領候補に選ばれた時は、自分は次世代との懸け橋であり、つなぎ候補だと公約したにもかかわらず、2024年には再選を目指すと前言を翻した。最後には降りたが、時すでに遅し。

 急場しのぎにカマラ・ハリス副大統領を指名した。もっと早くまともな候補者を予備選段階で選ぶべきだった。

一、退任間近になって、恩赦は一切しないと言っていたにもかかわらず、息子ハンター氏はじめ親類縁者や多くの罪人に恩赦を与えるなど大統領職を私物化した。

 勝てば官軍、負ければ賊軍。「バイデンは史上最低の大統領だ」といった声が民主党支持者の中からも聞こえてくる。

「民主党は、今後、ミシェル・オバマ氏を中核にした反トランプ体制を構築する可能性が出てきた」(主要メディアのジャーナリスト)

 就任式を見る限り目立つのは、反中国を掲げる面々が要職に就いたトランプ政権の旅立ちに、中国の韓正国家副主席が堂々と参列し、門出を祝った光景だ。

 トランプ、習近平両政権の共通項は「核心的国益」を守るという大原則。そして世界制覇を目指してぶつかり合う。

 中国のプラグマティックな外交に振り回されるのはトランプ氏か、あるいは、米国の同盟国、日欧か。

 末席を汚した岩屋外相は、何を考えていたのだろう。