トランプ大統領就任直前に行ったバイデン氏の“最後の一撃”
総じて言えば、第1次就任時の高揚感はなかったが、ダーク・トーンの目立つ演説で、「偉大なアメリカ」の再建のために国民の団結を訴えながらも、その中でトランプ流「自国第一主義」の主張をゴリゴリと前面に出した内容だったと言えよう。
そして、ダーク・トーンの中にトランプ2.0政権の方向性に異を唱えるものは自らの「敵」であり、内なる敵(反トランプ主義的な考え方を取る米国民)を含めて断固許さないという明確なシグナルが含まれていたように思う。
実はバイデン前大統領はトランプ氏が大統領に就任する正午直前の午前11時45分の時点で、最後の発表をホワイトハウスから行った。そこで、バイデン家の親族5人を刑事訴追から守るため「予防的な恩赦」をしている。
ほかにも、トランプ氏が自分を陥れたとして不満を持っているアメリカ軍統合参謀本部議長のマーク・ミリー氏やコロナ対策を主導したアンソニー・ファウチ博士、さらに共和党の元下院議員でトランプ批判の急先鋒だったリズ・チェイニー氏らも予防的な恩赦を受けた。

親族を予防的に恩赦するのは、結果的に大失敗に終わったバイデン政権の“最後の一撃”とも言える。バイデン氏は「家族の将来の安全を図って逃げ出した」と情けない話に受け取られているが、自身の親族に対するトランプ氏の「報復」や「復讐」を懸念せねばならない情報が存在したのかもしれない。