弱体化したハマス
イスラエル軍のガザ地区への侵攻により、ハマスは壊滅的ダメージを受け弱体化した。昨年10月には、シンワル最高幹部が殺害され、指揮命令系統も揺らいだ。また、ハマスを支援するヒズボラがイスラエル軍との戦闘で大きく勢力を削がれ、停戦に応じたことも、ハマスには打撃となった。
その停戦が発効した11月27日、シリアで長年にわたって独裁を続けてきたアサド政権に対して、反政府勢力が大攻勢を開始した。その結果、アサド政権は、12月8日に崩壊。イスラム過激派組織「シャーム解放機構(ハヤト・タハリール・シャム、HTS)」が主導する勢力が、わずか12日で、父子が50年以上にわたって続けてきた独裁体制を崩壊させたのである。アサド政権を支援してきたロシアやイランにとっては、大きなショックである。
イスラエルは、ダマスカスを空爆し、軍事関連施設やシリア国内のイランの武器庫などを破壊した。また、アメリカ中央軍はシリア国内のISの拠点75カ所を攻撃した。
アサド政権崩壊の背後には、後ろ盾であるロシアが、ウクライナ戦争に集中せざるをえない状況にあり、アサドへの支援が減ったことがある。
アサド政権はイランと共にヒズボラやハマスを支援してきており、その政権が倒れたことは、ハマスをさらに孤立させることになった。そのような状況から、ハマスは譲歩して停戦合意に応じざるをえなかったのである。