(舛添 要一:国際政治学者)
1月20日、ドナルド・トランプが第47代アメリカ大統領に就任した。大統領選中に約束した公約を実行に移すべく、大統領令などを発令して、矢継ぎ早にバイデン政権からの政策変更を図っている。その急展開に世界は戸惑っている。
アメリカ第一主義
基本路線はアメリカ第一主義であり、〈Make America Great Again〉ということであり、他国との協力など二の次である。
トランプは、地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定から離脱した。第一次トランプ政権のときも同じ事をしたが、バイデン政権は再加入していた。地球温暖化は全人類的課題であり、アメリカも大洪水や山火事など、多くの自然災害に悩まされるようになっている。二酸化炭素の排出量が、中国に次いで世界第2位のアメリカが何の対策もとらず、石油や石炭の増産を図り、化石燃料の使用を増やせば、地球温暖化はさらに進む。それはアメリカにも被害をもたらす。
また、WHO(世界保健機関)から脱退した。感染症には国境がない。だからこそ、世界的規模で対応する必要がある。国際的協力なしには感染症との戦いは無理である。最近は、異常気象の影響もあり、5年くらいの周期で新たな感染症が発生している。アメリカだけが、その病原菌に襲われないということはない。それは、アメリカ国民の健康にとっても大打撃となる。
拠出金で1位のアメリカが脱退すれば、この国際組織の運営は財政的にも苦しくなる。