プランクがたどり着いたエネルギー量子仮説
これを説明するため、プランクは「熱した物体が光を放出したり吸収したりする際、そのエネルギーは連続的な値を取らず、とびとびの値をとる」と仮定しました。
ニュートン力学とマクスウェル方程式に「光のエネルギーがとびとびである」という条件をつけて計算し直すと、熱した物体から発せられる光の波長の観測値と完全に一致したのです。
プランクは、これを「エネルギー量子仮説」として1900年に発表しました。波のエネルギーは連続的です。それに対して、プランクは光のエネルギーが、ある値に対して整数倍のとびとびの値をとると仮定したのです。
この「ある値」に現れる量が、のちに「 →「プランク定数(h= 6.62607015×10^-34 J⋅s)」と呼ばれる量です。
このように、エネルギーを1個、2個のように何かの整数倍で数えられるというのは粒子的な性質に思えます。ただ、プランクは「光が粒子である」というところまでは言及しませんでした。
そこへ現れたのが、天才アインシュタインです。アインシュタインといえば相対性理論と思いがちですが、実は彼のノーベル賞受賞理由は量子力学への貢献でした。
──アインシュタインは量子力学の分野で、どのような功績を残したのですか。
野村:アインシュタインは特殊相対性理論を発表したのと同じ1905年に、光電効果に関する理論を発表しました。
光電効果とは、物体に光を当てると電子が飛び出す現象です。光のエネルギーが電子の運動エネルギーに変換されるのです。ただ、照射する光の振動数(光の波長に反比例する値)と飛び出した電子の運動エネルギーを解析すると、どんな光を当てても光電効果が起こるわけではないということがわかりました。
光が波であるとすると、どんな振動数の光を当てても光電効果は起こり得ますが、実際はそうではありませんでした。つまり、光を連続的な波だと仮定すると、「ある特定の振動数の光でなければ光電効果は起こらない」という事実に矛盾するのです。
そこで、アインシュタインは、光は粒子ではないかと考えました。