内容は岸田首相と大差なかった

「まずは信頼回復。不正には厳正に対処。政策活動費や旧文通費の更なる透明化。第三者機関設置等の改革」だという

 岸田総理不出馬の記者会見の内容と大差ない。今、国民が求めているのはまさしくそれぞれの具体的な姿にもかかわらずまったく回答していない。

 また「党の調査の限界」というが、強制力の乏しい政治倫理審査会にすら出席を拒む自民党議員たちそれぞれが説明責任を果たす姿勢が認められないのだとすれば、党として調査を徹底するほかないはずでまたその調査の杜撰さや拙速さが指摘されているだけに、そうそうに白旗を挙げてしまうようでは信頼できない。
 
 邪推したくもなる。二階派出身の小林氏の会見に同席した自民党国会議員たちは誰か。NHKの報じるところによれば、24人が同席し、安倍派11人、二階派4人、麻生派3人、岸田派1人、森山派1人、無派閥4人ということらしい。

※参考:【詳細】自民総裁選 小林鷹之氏 立候補表明 | NHK

 確かに派閥横断的な中堅議員らの支援を受けている状況で、今後も派閥横断的な支持を取り付ける必要があるというとき、派閥によって政治とカネの温度感は大きく異なるだけに踏み込めないということではないか。

 こうした「自民党の論理」を刷新する具体的提案はいまのところ見えてこないし、今後も相次いで有力、有名自民党議員等が立候補を表明すると目されているが、彼ら、彼女らがどのように踏み込むかということとあわせて注視したい。

政治とカネは再び「自民一強」を幕引きするか

 ここまで「自民党の論理」を否定的に言及してきたが、その現実的刷新の可否は、直近(「次」)というより中期的な(来夏の参院選と「次の次」の総選挙)における自民党を大きく揺さぶるのではないか。

 というのも、この間のスキャンダルや不祥事と比べて、令和の政治とカネ事件は内閣支持率だけではなく、自民党の政党支持率も押し下げ、この間の国政選挙補選や東京都知事選挙をはじめとする地方選挙などにおいても強烈な反自民風を生み出していることは明らかだ。自民党、公明党支持層においても一部に強い改善、改革要望が出されている。

 昭和、平成の経済事件は筆者にとってはほぼ歴史的な出来事であり、正直にいえば、これほど強烈に引っ張る事態になるとはほとんど思っていなかった。しばらくすればほとぼりも冷めるだろうと考えていたのである。もしかすると多くの自民党関係者と大差なかったかもしれない。

 現状はそれとはまったく逆である。

 昭和、平成の政治とカネ事件は、55年体制と呼ばれた自民党一強時代の幕引きに直結した。どうしてもそのことを想起せずにはいられない。