記者会見で自民党総裁選への立候補を表明する小林鷹之氏。今回の戦いのポイントである「刷新感」を備えてはいるが…(写真:共同通信社)記者会見で自民党総裁選への立候補を表明する小林鷹之氏。今回の戦いのポイントである「刷新感」を備えてはいるが…(写真:共同通信社)
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(白鳥浩:法政大学大学院 教授)

岸田首相が開いた「パンドラの箱」

 日本政治は現在危機にある。内閣支持率は喫水線を下回って久しい。

 岸田文雄首相の8月14日の自民党総裁選への不出馬表明は、そうした現状を打開するべく行われた。と同時に、それまで「閉じられてきた」総裁選をめぐる動きが顕在化し、「パンドラの箱」を開けるということにつながった。

 なぜこれを、「災いの引き金」の例えであるパンドラの箱と言い表すのか。現状を紐解きながら見ていきたい。

 この首相の不出馬表明は、これまで「派閥の解散」や「首相の政倫審出席」といったサプライズを行ってきた岸田首相の「最大のサプライズ」といってよい。

 その一週間ほど前の8月6日には、岸田政権を支えてきた「キングメーカー」である麻生太郎元首相が「(岸田政権は)政策では間違ったことはしていない」「安倍晋三元首相が計画して難しいと思ったことでもしっかり結果を出している」という発言をしたと報じられていた。政権の継続も視野に入れた発言と考えられていた矢先の表明は、驚きをもって受け止められた。