東京都知事選で3位に終わった蓮舫氏。NHKは「2位はドコ?」といじった(写真:つのだよしお/アフロ)東京都知事選で3位に終わった蓮舫氏。NHKは「2位はドコ?」といじった(写真:つのだよしお/アフロ)
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(尾中 香尚里:ジャーナリスト、元毎日新聞編集委員)

3位に沈んで増幅した蓮舫への中傷

 7日に投開票が行われた東京都知事選は、事前予想通りに現職の小池百合子氏の3選で幕を閉じた。「現職が負けたことがない」難しい選挙にリスクを取って挑戦した立憲民主党(出馬にあたり離党)の蓮舫前参院議員は、ふたを開ければ小池氏だけでなく、新人の前広島県安芸高田市長、石丸伸二氏にも及ばない3位に沈んでしまった。

 結果はともかく、野党第1党として都知事選を「捨て試合」にせず「与野党ガチンコ勝負」の構図を創り上げた蓮舫氏の挑戦を、少なくとも筆者は高く評価したいと思う。

 訴えの内容も(聞く人の政治スタンスによって好むと好まざるとの差はあるだろうが)立憲の理念を体現しており、小池氏との選択肢となる役割はおおむね果たしていた。「ひとり街宣」のように、若い世代などが政治へのファーストコンタクトになり得るきっかけも提示した。

 もちろん、大敗した選挙結果については、蓮舫陣営も立憲民主党も多くの課題を見いださなければならない。だが、選挙の良し悪しは勝敗のみで判断されるべきものではない。外野が騒ぐほど酷い選挙だったとは、筆者は思わない。

 ただ、6月16日公開の記事(「蓮舫いじり」あふれ出す東京都知事選…アンチの“罵詈雑言”にみる、辟易するほど劣化しきった日本政治の現在地)でも指摘した蓮舫氏やその周囲への数限りない中傷が、蓮舫氏の敗戦によってさらに増幅されているさまは見るに堪えない。

 あ然としたのは、こうした言葉がネット上の多数の匿名の個人でなく、既存の大手メディアから大手を振って流れ始めたことだった。