「保身」「人気投票」ばかりにならない総裁選を

 8月20日には自民党の総裁選の日程が9月12日告示、27日投開票と決した。これは岸田首相の国連総会への外遊を意識したものであるが、結果として過去最長の総裁選期間ということとなった。

 これだけ長く総裁選挙を行うわけなので、首相にもなる総裁の選択が単なるそれぞれの議員の生き残りのための「人気投票」で終わってはならない。むしろそこではしっかりと政策に関する議論を戦わせてもらわなければならない。

 就任直後にも行われると考えられる衆院解散総選挙に、ここで当選した総裁候補が述べた政策がマニフェストにそのまま載るように、政策の議論を尽くしてもらいたい。

 また、自民党も総裁を変えるという「単なる表紙替え」による「刷新感」を演出するだけではなく、実際に「政治とカネ」の問題も含めて、日本政治を抜本的に「刷新する」ということを行うのでなければ、日本政治の危機は続く。

 自民党国会議員個人の保身、そして人気投票という色彩ばかりが目立つ総裁選になれば、それは国民にとって「災い」と言わざるを得ない。

「パンドラの箱」の物語では、最後に焦点が当たったのは「希望」であった。

 果たしてこの総裁選は、その物語と同様に国民に日本政治の再生という「希望」を与えるものとなるかどうか。候補者同士の政策論争をしっかりとみていきたい。