「若さ」「ジェンダー」「脱派閥」が「刷新感」のポイント

 今回選ばれる総裁は、これまでの自民党のマイナス面を打ち消してくれる「刷新感」を身にまとうことも求められている。

 この「刷新感」については、アメリカ大統領選挙が一つの教訓を与えている。現職のジョー・バイデン大統領の撤退に伴って、民主党は新たな候補者として、若い女性のカマラ・ハリス副大統領が指名を得た。それにより、民主党の支持率は上昇した。

 つまりそこでは第一に「世代交代」、第二に「ジェンダー」という新たな要素が加わることで、政治の「刷新感」が生まれていたと解釈できる。

 これらに加え、今回自民党の「派閥なき総裁選」では、第三に「脱派閥」という要素も「刷新感」を表すものといえるであろう。これら三つすべてを兼ね備えることは難しいが、いくつかの属性をアピールできれば「刷新感」は生まれる。

 このことは、8月19日に真っ先に総裁選への出馬会見を行った小林鷹之氏を見れば理解できる。小林氏は49歳と若く、そして派閥にとらわれない総裁選を主張した。これだけを見ても第一の「世代交代」、第三の「脱派閥」ということによる「刷新感」をアピールしていることが理解できる(もっとも、出馬会見には10人を超える安倍派の議員が同席したことで「脱派閥」が難しいことも印象付けてしまったところはある)。

 そのほか、第一の「世代交代」は小泉進次郎氏ら、第二の「ジェンダー」は高市早苗氏ら、第三の「脱派閥」は石破茂氏らがそれぞれ強くアピールし、「刷新感」を演出するであろうと考えられる。