補助金に頼らず、事業収入からスタッフ人件費を捻出

 神岡に鉄道があったことを何らかの形で後世に残そうという熱意が住民の間に強く、鉱山のまちならではのトライアルとして、地元の鉄工所の力を借りてレールマウンテンバイクを作ったのが始まりだった。

 ただ運行開始当初、モデルになる事例は非常に少なく、運営は手探りだったという。

 しかも、この地域はわが国有数の豪雪地帯であり、冬期の除雪をはじめとした保線の苦労は並大抵ではない。春先の除雪については、NPOが地域の事業者と連携して除雪機を開発し対応している。

 また、ガッタンゴーは平均約10名(2コース計)の運営スタッフが1日合計10~14便の運行をサポートしているが、そのほとんどが地元神岡在住の方々で、仕事をリタイアした後の人が多いという。

 人口規模から考えると、神岡で自治体がこれだけの体制で運営するのは難しく、運営と所有を分けた上下分離の効果が出ていると言える。特筆すべきは、こうした人件費を行政からの補助金に頼らずガッタンゴーの事業収入で賄っていることだ。働く者として、補助金なしで自らの人件費を捻出できていることは、NPO関係者のモチベーションアップにもつながっているのではないか。

「まちなかコース」では懐かしい縦型駅名標のある駅ホームを通ってトンネルへ

 昨今、気候変動や過疎化などの影響もあり、クマが人里に出現する事例が各地で発生している。「渓谷コース」は山深い無人のエリアを走るため、天候の急変はもとより、NPOとして動物に対する不測の事態にも備えている。田口氏から熊への具体的な対応策をお聞きしたので参考として付記する。