航空関連のランキングの中で最も重要なのは安全性であるはずだが、その評価基準は実態に合っておらず、非科学的で公正さを欠いていると指摘したい。

 現代の航空事故の原因としては、パイロットをはじめとするヒューマンエラーによるものが圧倒的に多いが、これらはデータ化が難しい。そのため格付け会社は、機材の使用年数や整備トラブルの件数などを基に、それぞれのポイント指数を合算して安全性を評価している。

聞いたことのない航空会社が上位にある理由

 しかし、この方法では、歴史の浅いLCC(格安航空会社)や新興航空会社などが、新しい機材で事業を始めた場合、マイナスポイントが少なく上位にランキングされる。あまり聞いたことのないような航空会社が上位にあるのはこうした理由からだ。

 一方で、テレビでドラマ化されるような「奇跡の生還」を果たすことの多い米国のビッグ3の航空会社(アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空)は、その路線網と便数の多さから古い機材も使用する。そのため安全性のポイントが低くなり、ランキング上位には来ないという実態がある。

 本来、航空会社の安全性を評価するには、それぞれの会社で過去にどのような事故を、何件起こしているか、そこからパイロットなどの技量や経験度を類推することも必要である。

 各国が公表する整備トラブルの件数をデータ化し、それが評価の大きなファクターになっているのも不合理だ。それは安全性評価のごく一部でしかない。なぜなら整備不良による全損事故は約3%未満に過ぎないからである。

 全損事故に限れば近年はCFIT(対地衝突事故)やLOC(操縦不能事故)が多くを占め、それらはヒューマンエラーが原因とされることも少なくない。