2月14日、エアバスは世界最大の旅客機「A380」の生産を2021年の最終号機引渡しをもって停止することを発表した。
総2階建ての巨人機の生産は約15年で終わることになる。
A380は巨人旅客機として知られるが、実は、世界最大の航空機ではない。世界最大の航空機はウクライナのアントノフの製造した「An-225」である。
飛行機のサイズは最大離陸重量で表される。A380の最大離陸重量は575トン。それに対しAn-225の最大離陸重量は600トンと言われている。
そのような立派な航空機を生み出したアントノフは、さぞ繁栄しているのではないかと考えたくなる。
しかし、アントノフは存在しているかですら、いまやあやふやな状態である。ウクライナの航空産業は消滅の瀬戸際にあるのだ。
航空大国だったウクライナ
日本ではウクライナという国の印象は決して強いものではないだろう。日本で広く名前を知られるようになったのは2014年以降のウクライナ危機以降ではないだろうか。
ロシア革命後、共産党に大弾圧を受け、その後、第2次世界大戦では国土のすべてをドイツに占領されている。ソ連末期にはチェルノブイリ原発事故が起きた。
今も内戦状態にあるが、共産主義革命、スターリン、ナチス、放射能汚染と20世紀の人類の災禍を次々に経験した過酷な歴史を持つ。
一方、美しい街並みやフレンドリーな国民性など、また行きたくなるような素敵な国であるのも事実である。そして、ソ連時代後半は高度な科学技術が発達し、ソ連の航空宇宙産業の中心地にもなった。