マレーシアのマハティール首相とパキスタンのカーン首相(写真中央)。大国・中国に物言うアジアの新しいリーダーとして、一帯一路のプロジェクトの見直しに懸命だ(パキスタンの首都、イスラマバード。2019年3月、パキスタン政府提供)

 かつて、世界に名を轟かせたクリケットのスター選手だった政治家と92歳で首相に再び返り咲いた老練の政治家――。

 東南アジアで今、域内に改革を呼ぶ新しいASEAN(東南アジア諸国連合)を象徴するリーダー2人がいる。

 パキスタンのカーン首相とマレーシアのマハティール首相だ。

 両者とも昨年後半に選挙で勝利し、その後相互訪問も果たしている。公私ともに長年親交が深い。

 この2人の最も特徴的な共通点は、大国を翻弄させるその巧みな“大国操縦力”にある。

 昨年5月に61年ぶりに初の政権交代を果たして首相として再登板、「新マレーシア」を引っ提げるマハティール首相。

 ナジブ前政権が蜜月だった中国の習近平政権が推す一帯一路の大型プロジェクトの延期や中止などの見直しを打ち出した。

 人口わずか3300万人の“小人”が14億人の巨人を翻弄してきたのは、国際社会でも周知のことだ。

 一方、マハティール首相の息子ほどの65歳という年齢のパキスタンのカーン首相は、元クリケットのスーパースターだった。そのカリスマ性から若者と中間層の間で絶大な人気を誇る。

 昨年7月の総選挙でパキスタン正義運動(PTI)を率いて勝利し、8月、新首相に選ばれた。