航空史上最大のミステリーの捜索現場では、世界の最新鋭の海底探査機が投入された。失踪後1週間が過ぎ、ブラックボックスの電源が切れた公算が高いため信号による音波の探知を断念。カメラやソナーを完備した米海軍の無人潜水艇「ブルーフィン21」を海中に投入し機体の海底捜索を実施した(豪州パースから西方約2000キロ付近海域、オーストラリア国防省提供)

 「Good night, Malaysian three seven zero(おやすみなさい。MH370)」

 この言葉を最後に地上との交信を絶ったマレーシア航空370便(ボーイング777型機)。

 航空史上最大のミステリーといわれる同航空機失踪事件から3月8日で5年目を迎えた。

 マレーシア航空370便は、2014年3月8日0時41分(現地時間)、乗員乗客239人を乗せて、クアラルンプール国際空港を出発し、中国・北京に向かった。

(「消えた『MH370便』で経営破綻懸念高まる」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40137

(「失踪したマレーシア航空の副操縦士の許されない行動」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40168

(「マレーシア機の大捜索で誇示された中国の新たな海洋強国政策」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40209

 ところが、離陸から約50分後、地上管制との交信が途絶え、南シナ海上空で左旋回して予定コースを大きく外れ、南西に向かった。

 マレーシア空軍のレーダーは、離陸後約1時間40分ほど、奇妙な飛行コースを捕捉していたが、間もなく同機を見失い、消息が途絶えた。

 マレーシア当局によると、MH370便は、マレーシアから北京までの飛行時間とほぼ同じ、離陸から7時間30分ほどにわたって、まるでレーダーの追跡をかいくぐるかのように、ジグザグの飛行線を描くように飛行していたと見られている。

 日本を含め10か国以上が参加して南シナ海やインド洋などで、大捜査線が大展開されたが、手がかりは全くつかめず、2017年1月、捜索は打ち切られ、迷宮入り事件となった。

 3月3日、日本人も多く住む首都クアラルンプール・パブリカのショッピングモールでは、マレーシアのローク運輸相が出席する中、370便の乗員、乗客の家族ら300人近くが集まり、5周年追悼集会が開かれた。

 会場では、事件後初めて、アフリカ・タンザニア沖合で発見された数少ない機体の残骸も公開され、内外のメディアの注目を集めた。